アートセラピールームPOFの清水です。
今日は前回に引き続き、風景構成法の意義について書いていきたいと思います。
前回の記事はこちらです↓
セラピーにおける風景構成法の意義深さは、
挙げればきりがないというのが本音ですが、今回は2点に絞りたいと思います。
●まず一つ目は、自己理解(問題の明確化)に役立つ点です。
ちょっとだけ、今自分が抱える悩みを簡単に言語化してみてください。
「なんとなくモヤモヤする」
「〇〇さんが苦手」
「元気が出ない」
「パートナーとうまくいかない」
人によって、それらの悩みは様々ですし、
なおかつ漠然としていたり、明確だったり、個人によって異なります。
セラピストは、そんな個人差のある説明をちょっと聞いただけで、その人が抱えている問題をすぐさま根本から理解することなど不可能です。
ご本人さえも、ご自分の抱えている問題の本質を、この段階ではまだ良く分かっていないことが多いと思います。
よく分からないのに、
クライエント様の言葉の表面だけをなぞって、分かったふりをしてセラピーに突入していっても、ほとんど実りはありません。
ですので、どのようなセラピーでも、
まずは
何がこの人にとって問題になっているのか?
またはこの人が今望んでいることは何だろうか?
といったことを、理解する必要があります。
もちろんそのためにはお話をゆっくりしていくことがとても重要です。
(お話を伺う努力をせず、絵を描けばわかる…というのはおごりですし、クライエントの負担になりかねないと私は考えています。)
その上で、
お話ししてもらったこと以上に(言葉になりにくい思いも多く存在する)、もっとクライエントさんを理解したい、
そしてご本人も気持ちを整理しながら自分のことへ洞察(自己理解)を深めていく必要がある場合、風景構成法はとても役に立つのです。
さらに、風景構成法はもともと統合失調症患者とのコミュニケーションツールとして開発された経緯があり、
そういった性質があるからか、この描画の過程および描画後の対話には、描き手とセラピストとのコミュニケーションが自然と深まっていくのを私はいつも感じます。
言葉だけのコミュニケーションでは、どうしても着飾る部分が出てきたり、言葉選びが難しく表現できないこともありますが、
絵を介したコミュニケーションは、
そもそもイメージに変換されているので、「相手にどう思われるか」にとらわれずにそのまま表現できることが多いのではないでしょうか。
●意義2つ目は、描くことで心の統合が促される…という点です。
心の統合ってなに?と思う方が多いと思います。
心の中には、色んな気持ちが存在していますよね?
嬉しい、悲しい、好き、嫌い、暗い、明るい…
本当にたくさんの心の機能を人間は持っています。
優しい心しかなくて、悲しむ心がない人っていません。その時その時、色んな自分の心が動いて、それらが全部統合して、あなたという1つの人格が実現しているわけです。
しかし、心が統合していないと、自分に中で都合の悪い心の機能を排除していたり、未発達な状態のままにしていたりします。
例:本当は寂しいのに、寂しいという自分は受け入れ難いので、その気持ちを自ら排除している…など
置かれてる環境によっては、
一見それでうまくやれるシーンもあるかもしれませんが、確実に心のバランスが崩れていくのは想像に難くないと思います。
つまり逆に言えば、心の統合度が高まるということは、心が元気になるということなのです。
話を戻すと
風景構成法は、描くことで、こころの統合を促す効果があると考えられています。
風景構成法は、複数のモチーフを順に画面の中に出現させ、既に存在しているモチーフと自分なりに関連付けながら構成していくことで、最終的に風景としての絵が完成します。
この過程は、
こころの中にある様々な要素が、絵という2次元的イメージに変換されて、各要素と関連付き、一つの全体性を構成していく…というもの。
なので、こころの中で宙ぶらりんになっている要素も、この過程を踏むことで、比較的統合へと促される…と考えられるのではないでしょうか。
もちろん、必ずしもそんな簡単にはいかないと思いますが。
風景構成法と言うと、なにか解釈をして、分析するもの…と思っている方が一般には多いかもしれませんが、
セラピーの中では、心当てゲームではない、これらのような意義深さがあります。
風景構成法についてもっと詳しく知りたい方は、以前書いた記事をこちらに貼っておきます。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
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