単なる心理テストじゃない?風景構成法の方法と解釈

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風景構成法 おたすけ心理学

ちょっと待って!風景構成法をやる前に注意するべきこと

風景構成法とは

風景構成法とは、絵画療法のひとつであると同時に、描画投影法としての性質も持っています。

絵画療法:芸術療法の一つ。描く行為によるカタルシス効果、表現による自己洞察効果などが期待される。

 

描画投影法:描かれた絵を分析・解釈することで、被験者の性格的特徴を把握しようとする方法。

「描画投影法として、被験者の性格特徴を絵を見て解釈することができる」…つまり、風景構成法は、いわゆる心理テストのように心を言い当てるために使うのか?

と、思う方がいらっしゃるかもしれません。

しかしそれは大きな誤りです。

心理療法として風景構成法を実施する場合、描かれた絵だけを見て、クライエントの性格特徴を分析したり、決め付けるようなことは絶対にしません。

療法としての風景構成法は、
絵を描く行為によってカタルシス効果を促進したり、
絵を構成していく中で生じる気持ちの変化、気づきに目を向けたり、
絵を俯瞰で見て感じることから、自己理解・自己洞察を深めたりしていきます。

もちろん、投影法的な解釈方法を用いることで、
自己理解を深め、自己洞察のきっかけにすることがありますが、それはあくまで、クライエントさんとの対話の中で行います。

(補足:風景構成法は元々、統合失調症者とのコミュニケーション補助ツールとして中井久夫により考案されました。)

絵の解釈には注意が必要!

絵の解釈の方法は様々ありますが、避けるべきなのは、
「絵を一義的な見方で(又は偏った見方で)一方的に解釈し、クライエントの内面や性格を決め付ける(もしくは暗に断定する)」行為です。

解釈には、解釈する側の主観がかなり影響しますから、
それをさも「答え」かのようにクライエントさんに伝えることはしません。

あくまで解釈は、クライエントさんが自ら自己洞察をしたり、気づきを感じるためのきっかけにすぎません。
そこに生まれる対話から、さらに様々な気づきを得ていくことが大切です。

セッションの中で、描画にばかり囚われるのではなく、
常に目の前にいるクライエントを理解しようとすること、
「どう感じるているのか」「どんな心の動きが起こっているのか」といった点を大切にしながら進めていくべきだと思います。

★あなたが風景構成法を行いたい場合は、この点をしっかりと把握している、倫理観のあるセラピストと一緒に行ってください。
 
風景構成法は上手に行えば、
自分のことがとても良く理解できますし、その一連のプロセスは非常に楽しめるものです。
 
また、自分自身への理解や洞察が深まったあとには、自然と、自分にもっと優しくなることができます。
 
 
それでは、風景構成法の方法と解釈について説明いたします。(一般的な傾向であって全てそのまま当てはめることはできません。)

風景構成法の手順

用意するもの:A4用紙/サインペン/クレヨン
▼風景構成法の手順はこの動画で確認できます。
心理テスト!~性格と心の中がわかる風景構成法

1.セラピストが、クライエントの目の前で、用紙にペンで枠をかき、それをクライエントに手渡します。

2.教示「今から私が言うものを、ひとつひとつ唱えたそばからこの枠の中にかきこんで、全体として一つの風景になるようにしてください。」

3.[川→山→田→道→家→木→人→花→動物→石→絵を完成させるにあたって足りないと思うもの(無ければ描かなくてもよい)] の順番で描画します。

4.クレヨンで色を塗ります。

風景構成法を解釈してみよう

●まずは風景全体が、どのように構成されているかに注目します。
近景かな、遠景かな、視点は定まっているかな、ETC…

●必要な質問をして絵の状況を確認します。
季節はいつ?/時間帯は?/人物はなにをしている?…

●タッチ、筆圧、配色バランスに注目。
丁寧にしつこく描かれているところは?/色が塗られていないところは?/ひときわ目立つところはある?…

空間構成~各空間ごとの解釈

どこにモチーフがたくさんあるか、またそれはどんなモチーフか?
各空間ごとにモチーフの偏りを見て解釈することができます。

心理テスト

■空間を上下で分ける
(例)上にモチーフが多い:頭で考えてばかり、精神的なことへ興味がある
(例)下にモチーフが多い:身体をつかった行動はたくさんしているが、夢や希望を持てないでいる可能性

心理テスト

■空間を左右で分ける
(例)右にモチーフが多い:行動的、未来的、結果を出すために頑張る(右に行くほど父親的領域)
(例)左にモチーフが多い:内向的、過去への想い、精神性を重視(左に行くほど母親的領域)

心理テスト

■4つに分ける
・各領域にどんなモチーフがあるか、またはモチーフが多いor少ないか
・右上にいくほど未来の領域
・左下にいくほど過去の領域

モチーフごとの解釈

各モチーフごとに象徴されるイメージがあります。以下の記載はほんの1例です。

川=感情、生命力
(例)細い川:感情をコントロールしようとする/太い川:感情のままになりがち

山=要求水準、目標、視野
(例)高く険しい山:要求水準が高い、プライドや理想/丸い山:おだやか、育み育てる

田=労働、仕事
(例)区切りがない:さいげんなく働いてしまう/水のある田:職場、労働上の悩み

道=人生の道
(例)道が多い:考えがまとまっていない/道に石:人生に障害を感じる

家=内面と外面(主に内的心象)
(例)内的心象風景/集落:社会適応の問題

木=エネルギー、状況
(例)林:自分の内界を隠す

人=自分、人間関係
(例)実年齢より若い:未熟、過去の問題、実際に子供がいる場合/老人:精神年齢が高い、諦め・疲れ

花=愛情、優しさ

動物=自分の中にあるものの象徴
(例)猫:甘え、受身/犬:忠実、攻撃性

石=障害
どこにどんなふうに石が描かれているか

まとめ

風景構成法は、このように、様々な角度から複合的に絵を解釈することで、
描き手のパーソナリティーや現在の心の状況などが推測できます。

ただし、絵を見ることのみで、
一方的に分析・推測をすることに注力するのではなく、

絵を描きながらクライエントが感じた内的な体験
(「ここには色を塗りたくなかった」「どうしても家を大きく描きたかった」「川に色をつけてたらもっと木が欲しくなった」など)
に目を向け、様々な対話を行うことが、とても大切です。

それにより、クライエントは自己理解と自己受容を深め、変容のきっかけをつかむことができます。


風景構成法は然るべきセラピストと一緒に上手に行えば、とても楽しめるワークです。
楽しく絵を描きながら、自分のことがとても良く理解でき、自然と自分にもっと優しくなることができます。

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コメント

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